もやもやするからもやい結び

銀行員になるとなぜか海上自衛隊の訓練を受けさせられるらしい

もやい結びとベッドメイキングを徹底的に教え込まれ
不必要であると思われるものを命令だという理由で真剣に取り組む
精神を頭に植え付ける

子育てさせた方が早いような気もするが
甲板掃除もいいもんだ

なのでもやい結びをスケッチし続けてみることにした

一番早く結ぶことができて
もっともほどけにくいと言われるもやい結び

紐使いとかワイヤーで人を切り刻むお仕事の人も
きっとこういった結び方を駆使しているにちがいない

なかでもこの形が美しかった

見栄えはぱっとしないんだけどね
そのうえにある結び方なんて図よりも
こちらのほうがわかりやすい

紐をたどっていきさえすれば結びに行きつくのだから
これほど美しい結び図もあるまい

だがこの結び目
模写するだけなら単純なのだが
それを見ないで書こうとするとどうしても紐の順番がわからない
どれが上にくるのか
どこまでで区切ればよいのか
この形をこのまま書いても別の紐が上にかぶさってたりはしないのか

紐を書く時は常に二重丸
外側と内側がありそれを区別しないように書いていく

一本引いたら右か左にもう一本である

こんな描き方じゃあ当然縮尺比を考えることは不可能に近いわけで
書いても書いても同じ構図
同じ角度から見た紐結びである

せめて裏返した状態をと思うと
なんだかわからない抽象画ができあがるわけだ

「混乱」　　画材：アクリル

スケッチを写真で撮る勇気がないのでイメージで